場面別アサーション

目標と評価の認識ずれを解消!上司と建設的にすり合わせるアサーション術

Tags: 目標設定, 評価, 上司, 認識ずれ, アサーション, ビジネスコミュニケーション

目標設定・評価での認識ずれ、抱え込んでいませんか?

仕事熱心なビジネスパーソンほど、与えられた目標に対して真摯に向き合い、日々の業務に励まれていることと思います。しかし、目標設定の段階や、その後の評価プロセスで、上司との間で微妙な認識のずれが生じ、モヤモヤを抱え込んでしまうという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

例えば、

このような認識のずれを曖昧なままにしておくと、モチベーションの低下につながったり、不要なストレスを抱え込んだりする原因となります。また、上司との信頼関係にも影響を与えかねません。

こうした状況を建設的に乗り越えるために有効なのが、「アサーション」のスキルです。アサーションは単なる自己主張ではなく、相手を尊重しながら、自分の考えや感情、要求を正直かつ率直に伝えるコミュニケーション手法です。目標設定や評価の場面でアサーションを用いることで、上司との相互理解を深め、より納得感のある状態で仕事を進めることができるようになります。

この記事では、目標設定や評価の際によくある認識ずれの場面を取り上げ、具体的なアサーション表現の例文とその意図を解説します。さらに、アサーションスキルを身につけるための具体的な練習法についてもご紹介します。

目標設定・評価におけるアサーションの重要性

目標設定や評価の場は、上司と部下が、期待される役割や成果、そしてその達成度についてすり合わせを行う重要な機会です。ここでアサーションを活用することには、以下のようなメリットがあります。

アサーションは、一方的に自分の主張を通すことではありません。上司の考えや立場も尊重しつつ、対話を通じて共通の理解点を見つけ、より良い結果を目指すためのツールです。

【場面別】目標設定・評価での具体的なアサーション表現

ここでは、目標設定や評価の際によくある場面を想定し、具体的なアサーション表現の例文と、その表現を選ぶ理由・意図を解説します。

場面1:目標設定の意図が不明確・目標が現実的ではないと感じる

上司から新しい目標を提示されたが、その背景や具体的な達成イメージが掴めない、あるいは現在の業務量やスキルから考えて達成が困難だと感じている場面です。

場面2:進捗状況と上司の期待にずれがある

目標達成に向けて業務を進めているものの、想定よりも進捗が遅れている、あるいは途中で見込みが変わってきたが、上司が抱いている進捗イメージとは異なると感じている場面です。

場面3:評価結果に納得がいかない、または評価の根拠を理解したい

期末評価などで、自己評価と上司からの評価にずれがある、あるいは評価の理由や基準が腑に落ちないと感じている場面です。

アサーションスキルを向上させるための具体的な練習法

アサーションは、意識と練習によって習得できるスキルです。日々の業務の中で、少しずつ実践していくことが大切です。ここでは、一人でも取り組める具体的な練習方法をご紹介します。

  1. ステップ1:自分の状況と感情を整理する

    • 目標設定や評価の場で「言えなかった」「モヤモヤした」状況を具体的に書き出してみましょう。
    • その時、自分はどのように感じたのか(不安、不満、困惑など)を正直に書き出します。
    • 具体的に、何について、相手にどう伝えたかったのか、あるいは今後どう伝えていきたいのかを明確にします。曖昧な「なんとなく」ではなく、「〇〇の目標設定の際に、期日について現実的ではないと感じたため、現状の業務量を伝え、期日を見直す相談をしたかった」のように具体的に整理します。
  2. ステップ2:具体的なアサーション表現を考える

    • ステップ1で整理した内容に基づき、この記事で紹介した例文などを参考にしながら、実際に使う言葉を考えてみましょう。
    • ポイントは、「私」を主語にする(I'm message)、「事実」に基づいて描写する、「要求」を明確に伝えることです。
    • 例:「あなたのせいで困っている」ではなく、「私は〇〇という状況であるため、△△だと感じています。つきましては、□□としていただけると助かります」のように組み立てます。
  3. ステップ3:伝える練習をする

    • ステップ2で考えた表現を、声に出して言ってみましょう。鏡の前で、自分の表情や声のトーンを確認しながら練習するのも効果的です。
    • 可能であれば、信頼できる同僚や友人に協力してもらい、ロールプレイング形式で練習します。相手役から様々な反応をもらうことで、実際の場面に近い状況で対応力を養うことができます。
  4. ステップ4:スモールステップで実践する

    • いきなり難しい状況で完璧なアサーションを目指す必要はありません。まずは、比較的伝えやすい簡単な確認や依頼から始めてみましょう。
    • 例:「〇〇の件ですが、△△という理解で合っていますでしょうか?」といった確認の質問や、「恐れ入りますが、〇〇について教えていただけますか?」といった簡単な依頼などです。
    • 小さな成功体験を積み重ねることで、自信を持ってより複雑な状況でもアサーションを使えるようになります。

アサーションを行う上での心構えとポイント

目標設定や評価の場でアサーションを実践する際には、以下の心構えやポイントを意識することが大切です。

まとめ:アサーションで、より納得感のある目標・評価プロセスへ

目標設定や評価の場面で上司との認識のずれに直面することは、多くのビジネスパーソンが経験することです。こうした状況で言いたいことを我慢したり、曖昧なままにしておいたりすることは、あなた自身の成長や仕事へのモチベーションにとってマイナスになりかねません。

アサーションは、こうした状況を主体的に、そして建設的に乗り越えるための強力なスキルです。相手を尊重しながら、自分の考えや状況を誠実に伝えることで、目標設定はより明確になり、評価プロセスはより納得感のあるものへと変わっていくでしょう。

すぐに完璧なアサーションができなくても問題ありません。まずはこの記事で紹介した具体的な表現や練習法を参考に、小さな一歩から踏み出してみてください。あなたの声が、より良い目標設定と評価、そして上司との信頼関係を築く力となるはずです。

ぜひ、今日からアサーションを意識したコミュニケーションを実践し、仕事への納得感と充実感を高めていきましょう。